この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2023.05.22
塩分をとりすぎてしまった!体から余分な塩分を抜く方法とは
塩分対策といえば「減塩」をイメージする方が多いかもしれませんが、体から塩分を抜く方法としては体内の余分な塩分を排出する「排塩」が有効です。
● 塩分量を気にしなければいけないと分かっていても、なかなか我慢するのが難しい…
● 食べ過ぎてしまった後でもなるべく調整できる方法が知りたい!
そんな方へとりすぎた塩分を体から抜く方法についてご紹介しています。
私たちの体は日々食べたものでできています。
体が必要とする栄養をしっかりとることはもちろん、必要量以上の栄養をとらないように意識することもとても大切です。
ですが、美味しい食事をとることはかけがえのない喜びでもあるので、健康な体を守るための方法を知ってメリハリをつけて楽しみましょう!
日本人はどのくらい塩分をとっているか知っていますか?
「日本人は塩分摂取量が多いって本当?」「実際に日本人はどれくらいの塩分をとっているの?」と疑問に感じたことはないでしょうか。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、日本人が1日に摂取する塩分量は、男性で10.9g、女性は9.3gとされています。しかし、WHO(世界保健機関)が推奨している塩分摂取量は、これらの半分の数値なのです。
塩分をとりすぎると、体内の塩分濃度を薄めるために血液が水増しされます。しかし、血液の量が増えればその分体内を巡るために力が必要なので、血圧が上がってしまうことに。
さらに、たくさんの塩分によって増えた血液を、余分な水分として排泄するため、腎臓に負担がかかることも考えられます。
まずは、こちらで1日の目安となる塩分摂取量や、調理時に取り組める塩分調整方法を押さえてみてください。
「1日5g未満」が目標!健康な体を守るために意識したい塩分摂取量
WHO(世界保健機関)では、成人の塩分摂取量を1日5g未満にすることを推奨しています。
実は、日本高血圧学会では1日6g未満と世界基準よりも緩い目安を設定していますが、健康な体を守るためには1日5g未満を目標にすることがおすすめです。
これは、先ほどお話したように、食塩を大量に摂取すると体に悪影響があるうえ、塩分をとる量が少ない地域では血圧上昇が起こりづらいといわれているから。塩分摂取量を制限することで体の不調を予防できるので、ぜひ今日から取り組んでみましょう。
塩分摂取量を目標値まで下げるには、食塩をとりすぎてしまう原因も押さえておくべきです。日本人の塩分摂取量が多いのは、年配の方の場合は調味料や漬物、若い方の場合はインスタントラーメンなどの加工品が要因といわれています。
年配の方に馴染み深い日本食は、味噌などの塩分を多く含む調味料がよく使われており、漬物や梅干しなども好んで食べられるため、塩分過多になってしまうことに。
また、手軽に食事を済ませられるインスタント食品も意外と塩分量が多く含まれているので、減塩を考える場合は控えてみてください。
調理のひと工夫で塩分量をかんたん調整!
日々の塩分量を目標値までもっていくには、調理にひと工夫することが一押しです。
塩分を減らした食事と聞くと、味気がなかったり物足りなかったりなどのイメージがあるかもしれませんが、調理方法のポイントを押さえることで、美味しく減塩をすることができるでしょう。無理せず塩分量をかんたんに調整するには、「酸味や甘みを加える」「焼き目をつけて香ばしくする」など、様々な方法があります。具体的な調理のやり方は、以下の3記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
【お医者さんのコラム】「我慢しなきゃ」は不要◎楽しくおいしく減塩するコツ①
【お医者さんのコラム】「我慢しなきゃ」は不要◎楽しくおいしく減塩するコツ②
【お医者さんのコラム】「我慢しなきゃ」は不要◎楽しくおいしく減塩するコツ③
また、減塩調理をするときに押さえておきたいのが、調味料に含まれる塩分量です。以下の表では、小さじ1(6g)あたりの代表的な調味料の塩分をまとめてみたので、チェックしてみてくださいね。
薄口醤油 | 1.0g |
麺つゆ | 0.6g |
米味噌(赤色辛味噌) | 0.8g |
豆板醤 | 1.1g |
ケチャップ | 0.2g |
マヨネーズ | 0.09g |
穀物酢 | 0g |
体内の余分な塩分を外に出す!知っておきたい「排塩」とは
塩分をとり過ぎないように注意していても、ついつい目標値を超えてしまうことがありますよね。毎日忙しかったり外食が続いたりなどで、思っているように塩分をコントロールできないケースも起きるかもしれません。
先ほどもお話したように、日本人の代表的な食事である和食には、塩分が多く使われています。また、最近では手軽に食べられるインスタント食品も増えているため、どうしても急激に減塩することは難しいものです。
そんなときは、体内の余分な塩分を外に出す「排塩」にトライしてみましょう。「体内から塩分を抜くなんて、難しそう…」と思うかもしれませんが、実は思い立ったらすぐに始められるほど簡単です。
こちらでは、体から塩分を抜く方法である「排塩」について詳しく解説していきましょう。
排塩って何?減塩とは何が違うの?
排塩とは、体内の塩分をスムーズに排出させるように促す方法のこと。塩分排出に役立つ食材を摂取することで、とり過ぎた塩分を体外へと出す取り組みを指します。
一方、減塩とは体内へ入れる塩分量を少なくすること。食事に使われる塩分量を減らして、体内へ必要以上に塩分をとらないようにする取り組みを意味します。
減塩が完璧にできれば健康な体を守ることができますが、毎日忙しない日々を過ごしているみなさんにはなかなか実践できないこともあるでしょう。
だからこそ、排塩について知っておけば摂取し過ぎてしまった塩分を効率的に体外へと出すことができ、健康的な生活を送ることが可能です。
では、次章から排塩の具体的なやり方について解説していきます。減塩に取り組みながら排塩も意識してみると、より効果的ですよ。
「カリウム」で食塩の排出をスムーズに
排塩を行うポイントは、カリウムを多く含んだ食材を摂取することです。
野菜や果物、イモ類などにたくさん含まれるカリウムは、余分な塩分を体外へと排出する効果があります。国内で提唱されている1日のカリウム摂取目安量は下記の通りですが、WHOでは成人の場合3510mgを推奨していますよ。
男性(18歳以上) | 女性(18歳以上) | |
目安量 | 2500mg | 2000mg |
目標量 | 3000mg | 2600mg |
また、以下にはカリウムの含有量が多い食材を、100gあたりのカリウム量と共にまとめてみたので、体から余分な塩分を抜きたいときは参考にしてみてください。
刻み昆布 | 8200mg |
干しひじき | 6400mg |
切り干し大根 | 3500mg |
あんず(乾) | 1300mg |
さつまいも(干いも) | 980mg |
ひきわり納豆 | 700mg |
ほうれん草 | 690mg |
適切な塩分摂取をサポートする栄養素
排塩や減塩を行うときは、カリウム以外にも以下7つの栄養素を積極的にとってみましょう。
1.マグネシウム
2.ビタミンE
3.ビタミンA
4.リコピン
5.ケルセチン
6.サーディンペプチド
7.フコイダン
「それぞれどんな働きをする栄養素なの?」「含まれている食材を知りたい!」という方は、以下3つの記事で詳しくお話しているのでチェックしてみてください。
【お医者さんのコラム】血管が若返る!減塩のためにプラスでとりたい8の栄養①
【お医者さんのコラム】血管が若返る!減塩のためにプラスでとりたい8の栄養②
【お医者さんのコラム】血管が若返る!減塩のためにプラスでとりたい8の栄養③
健康的な生活を送るには、栄養バランスのとれた食事を摂取することがとても大切です。塩分について意識するのはもちろん、毎日体に入れる食べ物についても考えながら、いつまでも若々しく過ごしていきましょう。
まとめ
この記事では、体から塩分を抜く方法について詳しく解説しました。
日本人の塩分摂取量は、世界基準の1日5g未満を大幅に超えているので、減塩や体内の余分な塩分を外に出す「排塩」に取り組んでみるのがおすすめです。
排塩は、野菜や果物、イモ類などに多く含まれるカリウムを積極的に摂取するのがポイント。さらに、マグネシウムやビタミンEなど、この記事で紹介した7つの栄養素もあわせてとりながら、健康な体を守っていきましょう。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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