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医師・専門家監修

この記事の監修者

薬剤師 坂井 幸子

2023.04.05

更年期なら基準値を超えていても大丈夫?女性のLDLコレステロール値が高くなる理由とは

「なぜか40代・50代になってから、LDLコレステロールが基準値を上回るようになった」

食生活が乱れていたり、運動不足ならまだ心当たりがあるのに、このような結果が出ると悩んでしまいますよね。実はこのようなケースにある女性は少なくありません。

実は、更年期前後の女性に関しては基準値を超えていても「正常」と判断される場合があり、 女性は年代別のLDLコレステロールの基準値も別途定められています。基準値の範囲内なら、今すぐ生活習慣を変える必要はありません。

もしその基準値以上でも、これから対策していけば大丈夫。記事の後半では改善方法もまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

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コレステロールの基準値はどのくらい?

コレステロールは、1dl(デシリットル)の血液中にどれくらいあるのかによって値が算出されます。以下に、各コレステロールの基準値をまとめてみました。

中性脂肪HDLコレステロールLDLコレステロール総コレステロール
要注意29以下59以下139以下
基準範囲30~14940以上60~119140~199
要注意150~49935~39120~179200~259
異常500以上34以下180以上260以上

また、HDLコレステロールとLDLコレステロールは、男女別に基準値が以下のように決められています。

男性女性
基準値(HDLコレステロール)40~8640~96
基準値(LDLコレステロール)178以下190以下
(年齢によって異なる)

健康診断や人間ドックで使われる基準値とは、健康な人のデータから算出された数値のこと。つまり、基準値は、現在の健康状態に異常があるかないかを判断する1つの材料です。

コレステロールの基準値が上回る場合は、生活習慣を見直して改善していくべきでしょう。

今は「新基準」でコレステロールをチェック!

健康状態をチェックするうえで押さえておきたいのが、コレステロールの新基準です。人間ドックは2020年4月より、「Non- HDLコレステロール」と呼ばれる指標を設けました。

Non- HDLコレステロールとは、HDLコレステロール(善玉コレステロール)ではないコレステロールのこと。「総コレステロール-HDLコレステロール」で算出され、体にたくさんありすぎると特に注意するべきものです。

一般的に、悪玉コレステロールと聞くとLDLコレステロールを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、血液中にはLDLコレステロール以外にも別の悪玉コレステロールが潜んでいます。

Non- HDLコレステロールは、LDLコレステロールを含む全ての悪玉コレステロール値を表す指標です。通常、LDLコレステロール以外の悪玉は少ししかいませんが、中性脂肪が高い人の場合は、値が高くなります。

Non- HDLコレステロール値の目安は以下の通りです。

要注意89以下
基準範囲90~149
要注意150~209
異常210以上

Non- HDLコレステロール値が重要視されるのは、健康状態を数値でしっかり明らかにしてくれるのはもちろん、正確なデータをとれるから。

悪玉コレステロールの代表であるLDLコレステロールは、測るときに空腹でなければ正確な数値を出すことができません。

つまり、うっかり食事をしてしまっては、実際の値とは異なるデータが出る可能性があるのです。また、検査メーカーによって多少のバラつきがあるのもデメリットの1つでした。

一方、Non- HDLコレステロールは食事の影響を受けにくいという魅力があります。このため、体内にある悪玉コレステロールのより正確な数値を導き出すことができるのです。

Non- HDLコレステロールを意識することで、より健康的な生活を手に入れられます。LDLコレステロールの値はもちろん、Non- HDLコレステロールにも注目してみてくださいね。

LDLコレステロール値が増える原因とは

「なんでLDLコレステロール値が高いんだろう」といった疑問にお答えするために、こちらでは数値が増える原因をお伝えします。

一般的に、LDLコレステロール値が増える原因は以下の通りです。

● 食事
● 肥満
● 運動不足
● 喫煙

食事を食べ過ぎてしまうと、LDLコレステロールが増加するといわれています。脂質の多いジャンクフードや糖質を含むお菓子、アルコールなどをたくさん摂取した場合、余分なコレステロールを体外に排出できずにLDLコレステロールが増えてしまうのです。

また、肥満によって中性脂肪が増えている方や運動をする習慣がない方も、LDLコレステロールが増加するとされています。加えて、タバコもLDLコレステロール値を高めてしまうので、禁煙をするのがベストでしょう。

LDLコレステロールは、悪玉コレステロールと呼ばれていますが、実際は肝臓に蓄えられたコレステロールを全身へ運ぶ役割があり、私たちの体になくてはならないものです。

ただ、増加すると血管の壁に溜まってしまい、健康面で様々な悪影響があるので対策するべきでしょう。

次章からは、LDLコレステロールが高くなる女性だけの原因や、基準値に近付ける改善策についてお話します。

健康なのにLDLコレステロールだけ高い?女性ゆえの原因とは

「食生活を意識しているのに、どうしてLDLコレステロールが高いんだろう」「定期的に運動をしていても、LDLコレステロール値が下がらない…」と悩んでいませんか?

もしかすると、LDLコレステロール値が高いのは閉経が関係しているのかもしれません。

女性ホルモンのエストロゲンには、血管の壁にくっついている余分なコレステロールを排除する「HDLコレステロール」を増やし、体の様々なところにコレステロールを運ぶ「LDLコレステロール」を低下させてくれます。

しかし、女性は閉経後にエストロゲンが減ってしまうので、一般的にLDLコレステロールの数値が上がりがちです。

日本人間ドック協会も閉経後の変化を考慮し、以下のように女性のLDLコレステロールの基準値を年齢別で設定しています。

30~44歳45~64歳65~80歳
基準値152以下183以下190以下

男女のLDLコレステロールにおける経年変化を確認しても、女性は閉経後に急上昇することがわかっているので、更年期前後で高くなっても過度に心配することはありません。

これは自然なことなので大きな問題ではありませんが、気になる方は次章の「LDLコレステロールを基準値に近づける改善策」を試してみてください。

LDLコレステロールを基準値に近づける改善策

LDLコレステロールを今よりも下げたいと思っている方は、以下の改善策を取り入れるのがおすすめです。

● 食生活を意識する
● 定期的に運動をする
● ストレスをためないようにする

食べもの選び方や食べ方を見直す

まずは、1日の摂取エネルギーをオーバーしないように食べ過ぎを防止することが大切です。エネルギーをとり過ぎてしまうと、肝臓で合成されるコレステロールが増えるため、LDLコレステロールも増加してしまいます。

以下に、摂取エネルギーの計算方法をまとめたので、一度適切な摂取エネルギーがどれくらいかを計算してみましょう。

【摂取エネルギーの計算方法】
適正エネルギー摂取量=標準体重(※)×25~30kcal
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22

また、コレステロールの合成を増やす食品を減らし、コレステロールを合成させにくい食品を増やすことも大切です。

コレステロールの合成を増やす食品としては、脂身の多い肉やベーコンなど、飽和脂肪酸を多く含む食材が当てはまります。これらの食品を避けて、魚類などに含まれている不飽和脂肪酸や食物繊維を積極的に食べることで、LDLコレステロールを基準値に近付けられるでしょう。

適切な運動

食生活だけではなく、定期的な運動を行うのもLDLコレステロールを減少させるうえで欠かせません。運動をすると血中の中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが増えるので、今日から取り組んでみましょう。

LDLコレステロールを減らすための運動は、「楽にできるかな?いやちょっときついかな?」ぐらいの強度で行う有酸素運動が効果的です。ウォーキングやジョギングなど、始めやすい運動から取り掛かり、健康面を強化していきましょう。

ストレスとうまく付き合う

さらに、LDLコレステロールを減少させるうえで押さえておきたいのが、ストレスです。

ストレスを感じたときに分泌される抗ストレスホルモンは、血糖値を上げる働きがあるので、いつもストレスを感じていると間接的にLDLコレステロールも下がりづらくなります。

ストレスの解消法は人それぞれなので、何をすればいいのか迷う方もいるかもしれません。スポーツやストレッチ、旅行やガーデニングなど、自分が楽しいと思うものを行いながら、心身共にリラックスしてみましょう。

まとめ

今回は、女性のLDLコレステロール値が高くなる理由や改善策について解説しました。

LDLコレステロール値には一般的な基準値がありますが、女性は閉経などの理由によって年齢ごとに数値が増加する傾向にあります。

基準値に近付けるためには、食生活を見直し、定期的に運動やストレス発散を行うことがおすすめです。LDLコレステロール値が高くなる理由と改善策を把握して、毎日を楽しく過ごしましょう。

この記事の監修者

薬剤師

坂井 幸子

薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。

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