この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2024.02.16
「寝ても寝ても眠い…」は50代女性に多い!?強い眠気の原因やセルフケアをご紹介
・体のことを考えて睡眠を優先しているつもりだけど、日中も結構眠気がある
・寝ても寝ても眠気が強くてこのままだと仕事や家事に影響しそう
など、寝ても寝ても眠いと感じてしまうことはありませんか。
眠気は疲れがたまっていたり寝不足などでも引き起こされますが、睡眠をきちんととっているのに感じる眠気にはその他にも原因があるかもしれません。
この記事では強い眠気の原因や質の高い睡眠をとるためのセルフケアについてご紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
眠くて仕事や家事が手につかない・・・強い眠気の原因とは
しっかり寝たはずなのに、強い眠気がして仕事や家事が手につかないといった経験がある方もいるのではないでしょうか。そんな強い眠気の原因としては、以下のようなものが考えられます。
• ストレス
• 生活リズムの乱れ
• 更年期
• その他
人間関係や仕事でのストレスを感じていたり、寝る時間が遅く生活リズムが乱れていたりすると、日常生活のなかで強い眠気を感じやすくなるほか、更年期症状によって強い眠気が引き起こされるケースもあります。
普段から強い眠気に悩まされているのであれば、まずは原因がどこにあるのかを把握して、対策できるとよいでしょう。それでは、強い眠気の原因について、それぞれ詳しく解説します。
寝ても寝ても眠い原因①:ストレス
人は自律神経と呼ばれる神経によって体調を整えています。自律神経には活動時や興奮状態のときに働きが優位になる「交感神経」と、リラックスしているときや睡眠時に働きが優位になる「副交感神経」の2種類があることをご存知でしょうか。
交感神経と副交感神経は日中交感神経が優位になり、夜寝るときに副交感神経が優位になるというように、1日の中でバランスよく優位になる神経が入れ替わることで、体調を整えています。
しかし、ストレスを受ける状態になると、交感神経が優位になりやすく、その結果、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまい、夜寝るときに副交感神経への切り替えがうまくできなくなってしまいます。
副交感神経への切り替えがうまくいかないことで、睡眠の質が下がり、眠りが浅くなってしまうため、日中に強い眠気を感じることにつながります。
寝ても寝ても眠い原因②:生活リズムの乱れ
夜更かしや不規則な生活によって、生活リズムがつい乱れてしまうという方は少なくないでしょう。しかし、生活リズムの乱れは強い眠気の原因になることから、注意が必要です。
人には生体リズムと呼ばれる体内時計が備えられており、規則正しいリズムで睡眠と覚醒を繰り返すことができるようになっています。しかし、1日が24時間であるのに対して、人の体内時計は25時間と、それぞれのリズムには約1時間のズレがあることが分かっています。
規則正しい生活ができていれば、日光を浴びることでそのズレを調整できるのですが、生活リズムが乱れてしまうと昼夜のリズムのズレが徐々に大きくなってしまいます。
寝ても寝ても眠い原因③:更年期
更年期になると、ホルモンバランスの乱れなどの原因から、強い眠気を感じることがあります。つまり、加齢によって強い眠気を感じやすくなるとも言えるでしょう。
更年期による眠気については、後ほど「50代特有の眠気は更年期が原因?」の見出しで解説しますのでぜひ参考にしてください。
その他
女性の場合は、PMS(月経前症候群)も強い眠気の原因として考えられます。PMSとは、月経の3〜10日前に不安やイライラなどの精神的な症状や、頭痛やめまいなどの身体的な症状が見られ、月経が開始すると月経前に見られた症状が改善されるものです。
また、睡眠時無呼吸症候群によって、強い眠気が起こることもあるでしょう。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸状態になっている状態のことで、10秒以上の無呼吸状態が一晩で30回以上ある場合や、1時間に5回以上無呼吸状態になる場合は睡眠時無呼吸症候群とされます。
睡眠時に無呼吸状態になることで、睡眠の質が下がったり、睡眠が浅くなったりするため、自分では寝ているつもりでも十分な睡眠がとれておらず、日中に強い眠気が起こる原因となります。そのほかにも強い眠気が症状として現れる病気はあるため、気になる方は病院を受診してみましょう。
50代特有の眠気は更年期が原因?
今まで日中に眠気を感じることは少なかったのに、50代になってから強い眠気を感じたり、つい居眠りをしてしまったりするという方もいるかもしれません。実は、眠気と更年期には関係があると言われており、50代の方にとって強い眠気はよくある悩みの一つです。
まずは、そもそも更年期とはどのようなものなのかを確認したうえで、更年期に見られる不調や眠気の原因についてみていきましょう。ご自身に現れている症状と比べながら、あなたに起こっている眠気は更年期によるものなのかを判断するための参考にしてみてください。
そもそも更年期とは
女性における更年期とは、閉経の前後5年間くらいを指しており、一般的に45〜55歳が更年期にあたると言われています。ただし、40代前半で更年期になる人もいれば、50代後半になっても更年期にならない人もいるため、45〜55歳の女性が全員更年期であるとは言い切れません。
更年期になると卵巣の機能が低下することで、急激に女性ホルモンの分泌が少なくなります。そのため、ホルモンバランスが崩れやすく、月経周期が乱れたり、女性ホルモンが欠乏したりすることによって、心身に不調が現れる人も少なくありません。
更年期に現れるさまざまな症状のことを「更年期症状」、日常生活に影響が出てしまうほどに症状が重いものを「更年期障害」と言います。ただし、更年期による症状の内容や程度は、人によって異なるのはもちろん、個人差が激しいとも言われていて一概に示すのは難しいです。
更年期に見られる心身の不調
更年期には、眠気以外にもさまざまな心身の不調が現れるため、眠気とあわせていくつかの更年期症状が見られる場合には、眠気の原因が更年期であると疑ってもよいでしょう。
更年期に見られる心身の不調を、身体的な症状と精神的な症状に分けて以下の表にまとめたので、それぞれの症状が現れていないかセルフチェックしてみましょう。
身体的な症状 | • 肩こり • 頭痛 • 腹痛 • 腰痛 • 発汗 • 疲労感 • のぼせ・ほてり • 冷え • めまい • 不眠 • 手足のしびれ • 胃腸の不調 • 皮膚のかゆみ • 排尿トラブル |
精神的な症状 | • イライラ • 気分の落ち込み • 不安 |
もし上記のような症状がみられる場合には、更年期が原因となって強い眠気が発生している可能性が高いでしょう。
なぜ更年期にさしかかると眠くなるのか
ここまで更年期について解説しましたが、なぜ更年期にさしかかると眠くなるのでしょうか。それには、以下の2つのような理由があります。
• ホルモンバランスの乱れ
• 睡眠サイクルの乱れ
更年期になると女性ホルモンの分泌が減少することから、ホルモンバランスが乱れるのは前述のとおりですが、更年期に起こる眠気もホルモンバランスの乱れに関係しています。ホルモンバランスが崩れることによって、自律神経の乱れを引き起こし、結果として眠気が起こってしまうのです。
さらに、加齢による睡眠サイクルの乱れも、眠気の原因として考えられます。年をとるにつれて睡眠時間は少なくなる傾向にあり、夜中に起きてしまうといった中途覚醒も起こりやすくなります。中途覚醒の回数が多いと眠りが浅くなりやすいため、睡眠の質が低下してしまい、日中に眠気が起こってしまうというメカニズムです。
心も体もゆるめてあげるのがカギ!ツライ眠気を吹き飛ばすためのセルフケア
日中に眠気があると、仕事や家事がなかなか手につかず苦労しますが、そんなときはセルフケアで対策することがおすすめです。眠気を吹き飛ばすためのセルフケアには、以下の4つのような方法があります。
• 生活リズムを整える
• ぬるめのお湯につかる
• 適度な運動を習慣化する
• 食事の栄養バランスを整える
今回、紹介するセルフケアはどれも簡単に行えるため、眠気に悩まされている人は、ぜひ試してみてくださいね。
生活リズムを整える
前述のとおり、生活リズムの乱れによって体内時計の調整機能がうまく効かなくなると、日中の眠気に悩まされやすくなります。そのため、生活リズムを整えることは、眠気の改善に効果があると言えるでしょう。
生活リズムを整える場合には、以下のことを意識してみてください。
• 朝に日光を浴びる
• 日中は明るい場所で活動する
• 夜は暗い場所で過ごす
• 3食しっかり食事をとる
• 規則正しい睡眠習慣にする
体内時計のリズムを整えるためには、毎日朝日を浴びて体内時計をリセットすることが大切です。さらに、日中は明るい場所で活動し、夜は暗い場所で過ごすことも重要で、夜寝る前にテレビやスマートフォンなどの強い光を浴びないようにした方がよいでしょう。
また、食事を朝昼晩に3食しっかりとることも、生活リズムを整える方法として効果的です。「時間がないから朝食を抜こうかな」というようなことは、食習慣だけでなく、睡眠習慣にも悪影響を引き起こす可能性があるのでできるだけ避けましょう。
ぬるめのお湯につかる
疲れた日はついつい湯船につからず、シャワーですませようと思ってしまうかもしれませんが、夜はぬるめのお湯に浸かることをおすすめします。寝る前に入浴することで、リラックスできるだけでなく、副交感神経が優位になり、体の奥から体温を一時的に上げられるため、睡眠の質を高めやすい状態をつくることが可能です。
質の高い睡眠を確保できるようになれば、日中の眠気も軽減されるはずなので、積極的に湯船につかるようにしたいですね。ただし、熱いお湯につかると交感神経が優位になることからかえって目がさえてしまうこともあるため、入浴は38℃程度のぬるめのお湯で、就寝の2〜3時間前に済ませておくのが理想です。
適度な運動を習慣化する
実は、運動習慣がある人には不眠の割合が少ないと言われているのを知っていますか。普段から定期的に運動をしていると、寝付きがよくなるだけなく、睡眠の質も高めやすくなるため、睡眠不足からくる日中の眠気を軽減できるでしょう。
睡眠の質を高めることを目的とする場合、就寝から3時間程度前、夕方から夜にかけて運動をするとより効果的です。就寝直前に運動をすると、交感神経が優位になって眠りづらくなってしまうため、就寝前に体を動かしたいときは軽めのストレッチなどにしておきましょう。
なお、運動の負荷が大きすぎると、疲労感が残ってしまうことも考えられるため、ランニングやウォーキングなど、軽めにできる有酸素運動がおすすめです。運動の習慣化は眠気を解消することだけでなく、健康の面からも積極的に行いたいセルフケアですね。
食事の栄養バランスを整える
食事の栄養バランスを整えると、自律神経を整えることにつながり、睡眠の質を向上させられます。各種栄養素を計算したうえで、理想的なバランスに整えられるとよいですが、もし難しい場合には主菜・副菜・主食を揃えた食事をとることを目標にしてもよいでしょう。
「栄養バランスを意識した食事ができていない」「料理が大変でインスタント食品ばかり食べている」のような方は、一度食生活を見直して、食生活の改善に取り組むことをおすすめします。
どうしても眠いときに試したい眠気覚まし
仕事や家事をしなければならず、なんとかして眠気を覚ましたいときには、以下のような眠気覚ましの方法を試してみてください。
• 顔や首を冷やす
• ストレッチする
• ツボを押す
いずれも眠気覚ましに効く方法ですが、より効果的に眠気を解消するためのポイントについても紹介しますので、ぜひ試してみてくださいね。
顔や首を冷やす
冷たい水やおしぼりを顔や首にあてて冷やすと、すっきりとした刺激で眠気を覚ます効果が期待できます。夏場であれば、清涼剤入りのスプレーやシートで冷やす方法もあります。事前に冷蔵庫などで濡らしたおしぼりを冷やしておくこともおすすめです。
ストレッチをする
首や肩を回したり、背中を伸ばしたりなど、軽いストレッチをすることも、眠気覚ましに向いている方法です。同じ姿勢で長時間作業をしていると、血行が悪くなって眠気が襲ってくることもあるため、軽いストレッチで体をほぐしてあげると眠くなりにくくなります。
ツボを押す
眠気覚ましの効果が期待できるツボ押しは、静かな場所や机の上でもできるため、デスクワークをしている方にもおすすめできる方法です。ツボ押しをする場合には、以下の方法を試してみてください。
• 耳たぶを指でつまんで少し引っ張る
• 親指と人差し指の付け根の部分を押す
• 手のひらの真ん中を押す
また、足の裏のツボを適度に刺激する方法でも眠気を解消できるため、足ツボマットやスリッパなどを活用してみるのもおすすめです。
まとめ
強い眠気が起こる原因としては、ストレスや生活リズムの乱れ、そのほかにもPMSや睡眠時無呼吸症候群などが考えられることを説明しました。また、50代以上の女性の場合には更年期が原因となっている可能性もあるかもしれません。
更年期になるとホルモンバランスが崩れやすく、月経周期が乱れたり、女性ホルモンが欠乏したりすることで心身にさまざまな不調が現れます。その結果、睡眠の質が低くなって、日中に強い眠気を感じることにつながります。
日中の眠気を軽減するうえでは、睡眠の質を上げることが大切であるため、以下のようなセルフケアを試してみてください。
• 生活リズムを整える
• ぬるめのお湯につかる
• 適度な運動を習慣化する
• 食事の栄養バランスを整える
日中の眠気で仕事や家事が手につかなくなっている方は、ぜひ本記事を参考に原因を把握し、改善を図ってみてくださいね。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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