この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2023.03.01
便通改善にはコレ!おすすめの食べ物や1日に必要な量をご紹介
便秘気味が続くとお腹の調子が気になるだけでなく、肌荒れや吹き出物といった肌トラブル、ストレスや疲労感から来る憂うつな状態など体や心にマイナスの影響を及ぼしてしまいます。
私たちの健康は日々取り入れている食べ物からできているので、これらを解消するためには、食生活を見直して腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境は、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のバランスが理想とされています。善玉菌が優位な状態だと、健康を保つことができるのです。
この記事で紹介する食べ物は、スーパーやコンビニなど身近な場所で手に入るものばかりなので、今の自分に必要な栄養を知って、便通改善を目指していきましょう。
便通改善のために積極的にとりたい栄養素とは
3~4日以上排便がないと、お腹に不快感がありますよね。原因としては、食物繊維不足や運動不足、ストレスなどが挙げられます。
便通を改善したいなら、まず腸内環境を整えることが大切です。食生活を見直し、善玉菌そのものを摂取したり、善玉菌のエサとなる食材をとったりすれば、すっきりとした排便につながるでしょう。
こちらでは、便通改善に役立つ栄養素とおすすめのレシピ、さらに控えるべき食材を解説します。
便通改善のために活躍する食材の中には、コンビニでも手に入るものも多いです。無理のない範囲で食生活を変えていってくださいね。
食物繊維
体の調子を整える栄養素として、食物繊維が挙げられるでしょう。食物繊維は善玉菌のエサなので、摂取することで善玉菌が活発に働きます。
善玉菌が優勢になれば、腸内環境のバランスが整うことが期待できますよ。
食物繊維が豊富な食材の代表例を以下にまとめてみました。
■そば
■ライ麦パン
■リンゴ
■柿
■きのこ類
■海藻類
食物繊維における1日あたりの摂取目安量は、18~64歳の男性が21g以上、女性は18g以上です。日本人の平均摂取量は、1日あたり14g前後とされているので、ぜひ積極的に食物繊維をとっていきましょう。
食物繊維を手軽にとる方法としては、1日のうち1食分の主食をそばやライ麦パンなどに置き換えることです。主食なら毎食とるので、栄養素をしっかり摂取できますね。
発酵食品
発酵食品も、食物繊維と同じく善玉菌のエサとなります。善玉菌の数と種類を増やす働きがあるため、便通改善につながるでしょう。
発酵食品には麹菌などの生きた善玉菌がたくさん含まれていますが、ほとんどが胃酸などで大腸に届くまでに死んでしまいます。だからこそ、「発酵食品をとっても意味がないんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、死んだ菌は善玉菌のエサになるので、数や種類を増やすサポートをしてくれるのです。善玉菌が増えれば免疫力の向上も見込めるため、積極的に発酵食品をとっていきましょう。
便通改善におすすめの発酵食品は、以下の通り。
■納豆
■キムチ
■味噌
1日の目安摂取量としては、納豆なら1パック(40g)です。
キムチや味噌は、食べ過ぎると塩分過多になってしまうので、他の食品との兼ね合いで摂取量を決めましょう。基準として、「食塩の摂取量は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満」と設定されていることを押さえておいてくださいね。
オリゴ糖
オリゴ糖とは、糖質の最小単位である単糖が複数つながっているものです。善玉菌の栄養源となり、増やす効果があるため、便通の改善にもってこいの栄養素でしょう。
オリゴ糖を含む代表的な食品を、以下にまとめてみました。
■アスパラガス
■清酒
■みりん
■味噌
■蜂蜜
1日あたり5〜15gを目安にオリゴ糖を摂取すると、便秘気味を解消する可能性があるといわれており、お通じに悩んでいる方はぜひ摂取するべきです。
ただ、たくさんとりすぎるとお腹に違和感を感じることもあるので、1日12g以下を目安に摂取してみてください。
乳酸菌
乳酸菌も、便通改善に向けてとるべき栄養素の1つです。乳製品だけではなく発酵食品にも含まれているので、日常的に摂取しやすいでしょう。
乳酸菌が含まれる食品としては、以下の通りです。
■ヨーグルト
■味噌
■醤油
■ワイン
■清酒
■漬物
乳酸菌における1日の摂取量は制限されていません。乳酸菌は便と一緒に排出されてしまうので、量ではなく継続してとることを意識しましょう。
また、乳酸菌はオリゴ糖や食物繊維と一緒に摂取することで、より効果を高められます。胃酸で死滅しないように食事の後にとれば、便通改善に近付くことができるでしょう。
ビフィズス菌
ビフィズス菌をとりこむと、腸内の善玉菌にとって住みやすい環境になるので、便通改善が期待できます。実際に、便秘傾向の高齢者がビフィズス菌を4週間摂取したところ、排便日数が増えたり、残便感が減少したりといった結果が出ているのです。
ビフィズス菌が含まれている食品には、以下のようなものが挙げられます。
■ヨーグルト
■漬物
■甘酒
ビフィズス菌食品の代表であるヨーグルトは、1日200~300gを目安に摂取しましょう。漬物などは食べ過ぎると塩分過多になるので、1日の食塩摂取量を意識してとってみてください。
おすすめレシピ3選
便通改善にぴったりの食べ物がわかっても、具体的にどんな料理を作れば良いのか悩んでしまいますよね。
こちらでは、誰でも手軽に作れる便通改善のレシピを解説します。お医者さんがおすすめするレシピなので、「早く便秘気味を解消したい!」という方にもぴったり。
せっかく便通に効果的な食べ物を知っても、料理を作らなければお通じを良くすることはできません。紹介したレシピを参考にして、今日からお通じをすっきりさせる一品を作ってみましょう。
【お医者さんのレシピ】腸活におすすめ◎「海藻と豆腐のスープ」
腸内環境を整えたい方におすすめなのが「海藻と豆腐のスープ」。ヘルシーなのに食べ応えもたっぷりで、食べ過ぎた翌日にもぴったりですね。
詳しいレシピは以下の記事で解説しているので、チェックしてみてください。
【お医者さんのレシピ】腸活におすすめ◎「海藻と豆腐のスープ」
【お医者さんのレシピ】ダイエットに◎もち麦で満足感アップの華やかミモザサラダ
食物繊維たっぷりのもち麦や、善玉菌を増やす紫玉ねぎとアスパラを使った、華やかなサラダです。おもてなし料理にも一押しの見た目で、楽しく腸活をしてみましょう。
材料やレシピは、以下の記事を参考にしてみてください。
【お医者さんのレシピ】ダイエットに◎もち麦で満足感アップの華やかミモザサラダ
【お医者さんのレシピ】たんぱく質・カルシウム豊富!食べ応えも満点◎厚揚げの南蛮煮
「お腹が空いたけど、腸に優しいものが食べたい」という方に試してほしいレシピです。良質のたんぱく質やカルシウムをとれる厚揚げがメインの料理なので、罪悪感なく食事を楽しめますよ。
3ステップで簡単に作れるため、以下の記事を見ながらチャレンジしてみてください。
【お医者さんのレシピ】たんぱく質・カルシウム豊富!食べ応えも満点◎厚揚げの南蛮煮
なるべく控えておきたい!悪玉菌を増やす食べ物
悪玉菌は、以下のような食べ物を過剰摂取すると増えてしまいます。
■肉類などの動物性たんぱく質
■脂質の多い食事
■アルコール
最近では、ダイエットのために炭水化物を減らして肉類をメインにする方法も流行っていますが、これでは食物繊維などの善玉菌を増やす栄養素が不足することも。
国際的な基準では、牛肉や豚肉は1週間に500gを超えないように摂取することが推奨されています。肉や魚などの動物性たんぱく質は、1回の食事で片手の手のひらに収まるぐらいを目安に食べましょう。
また、脂質の多い食事やアルコールの過度な摂取も、腸内環境を整えたいなら避けるべきです。
食事とあわせて意識したい”快腸生活”のポイント
便通改善に取り組みたいなら、食事以外にもライフスタイルを見直しましょう。
健康な体を作るためにはバランスの良い食事が最も大切ですが、あわせて普段の生活でも行動を改善することでより効果が見込めます。
こちらでは、紹介する”快腸生活”のポイントは以下の4つです。
1.適度な運動・ストレッチ
2.規則正しい生活を送る
3.コップ1杯の水を飲んで腸の動きを活発に
4.毎日大さじ2杯のオリーブオイルでお通じをスムーズに
食生活と共に4つのポイントを押さえておけば、便秘解消にぐっと近付きます。どれも今日からできることばかりなので、気軽にチャレンジしてみましょう。
適度な運動・ストレッチ
便通改善には、日常的に運動やストレッチを行ってみてください。便を押し出すには、ある程度の腹筋力が必要ですが、運動不足の場合は低下してしまいます。
また、腹部のインナーマッスルを鍛えれば、腸管に刺激を与えて蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、息むことなくすっきりと排便できるのです。
運動不足の方は、激しい運動を始めるのではなく、毎日のウォーキングやお風呂上りのストレッチなどがおすすめ。負荷の大きい運動は続けることが大変なうえ、適度なストレッチなどでも便通改善に十分効果が見込めます。
今回は、自宅で簡単にできる2つのストレッチをピックアップしました。毎日の生活に取り入れて、快便ライフをゲットしましょう。
【人気トレーナー直伝】疲れた胃腸を整える30秒簡単ストレッチ
胃腸がもたれている方は、こちらのストレッチを試みるべき。適度な運動を行なえば、消化管が強くなりスムーズな消化につながります。
以下の記事では、詳しいストレッチの方法を写真で紹介しているので、参考にしてみてください。
【人気トレーナー直伝】疲れた胃腸を整える30秒簡単ストレッチ
【人気トレーナー直伝】 お腹すっきり!便通改善にも効果的な内臓活性化ストレッチ
便通改善には、腹式呼吸を用いたストレッチで、内臓を活性化するのがおすすめ。腹式呼吸は横隔膜をしっかり動かすため、内臓周りに刺激が入ったり、腸の蠕動(ぜんどう)運動が見込めたりと良いこと尽くめです。
詳しいやり方は、写真付きで以下の記事にまとめています。どちらも手軽にできるストレッチなので、ぜひトライしてみてください。
【人気トレーナー直伝】 お腹すっきり!便通改善にも効果的な内臓活性化ストレッチ
規則正しい生活を送る
便通改善に向けて、1日3回毎日決まった時間に食事をするなど、規則正しい生活を送るように心がけましょう。
同じ時間に食事をすれば、生活習慣が身につき、スムーズな排便へとつながります。特に意識したいのが、朝食を抜かないことです。
朝食を食べると、消化酵素が分泌されたり腸の蠕動(ぜんどう)運動が始まるなど、体内時計がリセットされることに。体内時計を乱れさせてしまうと、決まった時間に排便のリズムも崩れてしまうため、注意しましょう。
また、便意をもよおしていなくても朝食後にトイレに行き、排便を促すようにしてみてくださいね。
時間ギリギリに起きる生活では、せっかくの便意が起こっても、バタバタと用意するうちに忘れてしまうことも。便秘は排便のタイミングを逃してしまうことが原因でもあるので、余裕を持って起床して、トイレ時間を確保してみてください。
コップ1杯の水を飲んで腸の動きを活発に
朝起きたら、コップ1杯の水を飲み、腸を刺激して排便につなげましょう。水ではなく、牛乳や豆乳でも効果が見込めます。
水分をとると、便が柔らかくなるというメリットも。体内の水分が少ないと便が固くなるので、便秘気味を解消するにはたくさんの水を飲むことが大切です。
実は、発汗によって体内の水分量が減っている場合も便秘になることがあります。普段からあまり水を飲まなかったり、運動しても水分補給量が少なかったりでは、便秘気味が解消されないので気を付けましょう。
1日に摂取するべき水は2Lがおすすめ。一気に飲んでしまうと、尿として排出されてしまうため、少しずつ摂取してみてください。
毎日大さじ2杯のオリーブオイルでお通じをスムーズに
オリーブオイルやアマニ油などの油は、小腸で吸収されづらく、腸内でたまった便のすべりを良くする効果があります。生活習慣病を予防することも期待できるので、ぜひ取り入れてみましょう。
摂取量は1日15~30mlくらい(スプーン2~4杯)が理想ですが、毎日30mlをとり続けるのは難しいもの。便秘に良いとはいっても、摂取しすぎると胃もたれも感じてしまうので、ほどほどが大切です。
まとめ
今回は、便通改善に向けた食生活や、食事とあわせて意識したいポイントについて解説しました。
便秘気味を解消したい方は、以下5つの栄養素を摂取するべきです。
1.食物繊維
2.発酵食品
3.オリゴ糖
4.乳酸菌
5.ビフィズス菌
さらに、適度な運動や規則正しい生活を送りながら、”快腸生活”を実践していきましょう。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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