この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2023.08.29
高血圧は何に気を付けるべき?原因と対策を詳しく解説
「血圧が高い」と健康診断で指摘されたり、「そんなに塩分をとっていると高血圧になるよ」と家族に言われたりなどすると、自分の健康状態は大丈夫かな?と気になりますよね。
高血圧には、実は具体的な症状はありません。
自覚症状がないゆえに、高血圧の状態が長く続いてしまうと、それが知らず知らずのうちに健康リスクを高めていたということになりかねないのです。
これが高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれる理由です。
これから紹介する高血圧の原因や対策方法を知って、それが習慣的に意識できるようになればさまざまな高血圧リスクを減らしていけるでしょう。
普段の生活を振り返りながら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
高血圧とはどんな状態?
高血圧とは、慢性的に血圧が高い状態が続くことです。
普通、体を動かしたり寒さを感じたりしたときなども血圧は上がりますが、これは一時的なもので、すぐに正常値に戻るので高血圧とは診断されません。
一方で、繰り返し測っても血圧が基準値より高い場合は、高血圧とみなされます。
高血圧が続くと血管は厚く硬くなり、様々な健康リスクを引き起こすことに。また、血圧の高い状態に打ち勝つため、心臓にも負担をかけてしまいます。
では、次章から高血圧と判断される基準値と、高血圧の種類についてご紹介していきましょう。
高血圧と判断される基準値
高血圧と診断される基準値についてお話する前に、まずは「上の血圧」「下の血圧」について解説します。
「上の血圧」は、「最高血圧」や「収縮期血圧」とも呼ばれており、心臓が収縮して血液を一気に送り出した時の血圧のことです。
一方、「下の血圧」は「最低血圧」や「拡張期血圧」とも称され、心臓が拡張して再び血液を溜め込んでいる時の血圧を指します。
心臓は、収縮・拡張を繰り返して血液を全身に送り出しているため、血圧もそれに合わせて上下するもの。だからこそ、高血圧かを診断するときも「上の血圧」と「下の血圧」の数値を測定するのです。
高血圧と判断される基準値を以下にご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
診察室で測ったとき | 上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上 |
自宅で測ったとき | 上の血圧(収縮期血圧)が135mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)が85mmHg以上の場合 |
高血圧には2種類ある
高血圧は、原因によって以下の2種類に分けられます。
● 本態性高血圧:生活習慣や食習慣などが原因
● 二次性高血圧:甲状腺や副腎などの病気が原因
日本人で高血圧を引き起こしている人の大部分は本態性高血圧であり、食生活・運動不足・肥満・飲酒や喫煙などが組み合わさって発症しているといわれているのです。
本態性高血圧は主に35~60歳で発症し、徐々に進行していきますが、自覚症状はほとんどないことから毎年健診を受けたり予防をしたりなどが大切でしょう。
あなたはどれに当てはまる?血圧が高くなる原因とは
血圧が高くなる原因としては、主に以下5つが挙げられます。
● 塩分のとりすぎ
● 運動不足
● 肥満
● 飲酒や喫煙
● 加齢
原因の詳細を押さえておけば、日常的にリスクを避けることができますよね。では、血圧が高くなる原因について詳しく解説していきましょう。
塩分のとりすぎ
日本人における高血圧最大の原因は、塩分のとりすぎと考えられています。
人の身体の中は水分と塩分が一定の濃度で保たれているため、塩分をとりすぎるとその濃度を薄めようと喉が渇き、体内に水分が取り込まれるのです。
それに伴って、心臓に送り込まれる血液の量が増加し、血管にかかる圧力が増すことで高血圧になってしまいます。
WHO(世界保健機関)では、1日の食塩摂取量の目標値を5g未満に設定していますが、2016年の調査で日本人における食塩摂取量の平均値は約10gという結果に。
日常的に塩分量を減らしていくことが、高血圧の予防につながるでしょう。
運動不足
高血圧の原因として、運動不足も挙げられます。運動は体内の余分な塩分排出をサポートしますが、運動不足になってしまうとその働きが十分にできなくなり、血圧が上がってしまうのです。
習慣的な運動は、高血圧において以下のような効果があるとされています。
● 血管内皮機能を改善して降圧効果を得られ、高血圧症を改善する
● 収縮期血圧を2~5mmHg、拡張期血圧を1~4mmHg低下させる
高血圧にならないための具体的な運動方法は、記事の後半でご紹介するので、チェックしてみてください。
肥満
肥満の方は、高血圧になるリスクが高いといわれています。
これは、肥満による過食で塩分をとり過ぎてしまったり、過剰にホルモンのインスリンが分泌されてしまったりするから。
インスリンは血糖値を下げる働きをしますが、過剰に分泌されると血液中のナトリウムが増加したり、末梢血管を収縮させたりなどの原因になることに。結果として、血圧を上昇させることにつながってしまうのです。
肥満を解消するには、有酸素運動を行いながらゆっくりと減量しておくのが一番。有酸素運動については、以下の記事を参考にしてみてください。
飲酒や喫煙
飲酒や喫煙も高血圧を引き起こす要因です。
血圧は、アルコールを飲んだ直後は下がります。しかし、多量のアルコールを長期的に摂取していると、血圧は平均約5~10mmHg程度上昇するといわれているのです。
飲み過ぎなければ問題ないので、以下にご紹介しているお酒の適量をチェックしながら日々の飲酒を楽しみましょう。
● ビール:中びん1本(500ml)
● 日本酒:1合(180ml)
● チューハイ:アルコール度数7%のもの1缶(350ml)
● ワイン :グラス2杯(200ml)
● 焼酎:グラス1/2杯(100ml)
● ウイスキー:ダブル1杯(60ml)
喫煙に関しては、たばこに含まれる化学物質が血管の収縮を促し、血圧を高くさせるといわれています。禁煙をすれば、高血圧を筆頭とした様々な健康リスクを避けられるので、この機会に検討してみましょう。
加齢
加齢によって血圧は上がりやすくなる傾向にあります。
年齢を重ねると血管の弾力性が低下して血流が悪くなるため、血管にかかる圧力が高くなるため、高血圧になりやすいのです。
また、加齢は自律神経の働きも低下させるので、血圧変動のリズムが乱れてスムーズに血液が流れず、血圧が上がってしまうこともあります。
今日から対策開始!高血圧にならないための予防方法
高血圧にならないためには、以下3つの予防方法を押さえておくことがおすすめ。
● 血圧を下げる・血圧を上げる食べ物を知って食事改善
● 無理のない程度で適度な運動を習慣的に取り入れる
● ストレスの発散方法をいくつか持っておく
では、それぞれについて解説します。
血圧を下げる・血圧を上げる食べ物を知って食事改善
高血圧を予防するには、血圧を下げる・上げる食べ物を知り、食生活を見直してみましょう。
例えば、ハムやウィンナー、ベーコンは食塩を多く含んでいる食品なので、食べ過ぎると血圧を上げる恐れがあります。
一方で、野菜・フルーツ・大豆加工食品は、とり過ぎてしまった塩分を体外へ排出するサポートをしてくれるのです。
以下の記事では、血圧を下げる・上げる食べ物について詳しくご紹介しているので、参考にしてみてください。
無理のない程度で適度な運動を習慣的に取り入れる
高血圧を予防するには、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を習慣的に行うことが大切です。
毎日30分以上、ややきついと感じる程度の運動を行うのが推奨されていますが、普段から身体を動かす習慣がない方は、掃除をしっかり行うなど身体活動量を増やすことから始めるのもgood。
ストレスの発散方法をいくつか持っておく
人はストレスを感じると、それに抵抗するために交感神経が働き、血圧を上げてしまいます。つまり、ストレスを日常的に感じていると、どうしても高血圧のリスクが高まってしまうのです。
「映画鑑賞をする」「ゆっくり入浴する」など、自分にぴったり合うストレス発散方法を複数持っておくことで、どんな状況でも気分をリフレッシュできるでしょう。
まとめ
今回は、高血圧の原因や対策方法について解説しました。
塩分のとりすぎや運動不足などで引き起こされる高血圧ですが、日常的に取り組める対策を押さえておけば、リスクを軽減できます。
ご紹介した対策方法を今日から実施し、高血圧にならないための生活習慣を送っていきましょう。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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