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医師・専門家監修

この記事の監修者

薬剤師 坂井 幸子

2023.03.10

【チェックリスト付】自分の「適正睡眠時間」を知っていますか?

皆さん、毎日よく眠れていますか?

「なかなか寝付けない」「予定より早く起きてしまう」という方もいれば、「ついつい寝すぎてしまう」「平日あまり寝れない分休日に寝溜めをしている」という方もいるかもしれません。

人生の1/3を占めているとされる睡眠ですが、ただ長く眠れば大丈夫ということではありません。それぞれが持っている「適正睡眠時間」にあわせて睡眠が取れるようになるとベストです。

この記事では、今の睡眠の充実度についてのチェックリストや今日から取り入れられる睡眠改善策をご紹介しています。

質の高い睡眠をしっかり取って、心と体の健康を守りましょう。

目次

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あなたはしっかり眠れてる?カンタン睡眠充実度チェック

「私はいつもしっかり眠れている!」と断言できる方は少ないのではないでしょうか。質の良い睡眠を得られるかどうかは、健康に深く関わってくるため、少しでも自分の眠りに不満を持っているなら改善するのがおすすめ。

毎日、満足できる睡眠を取るために、まずは現時点で眠りにおける充実度がどれくらいかを押さえておきましょう。

睡眠の充実度をチェックするには、WHO(世界保健機関)が中心に定めた「アテネ不眠尺度(AIS)」を参考にするのがおすすめです。

8つの質問で分かる!あなたの睡眠充実度

アテネ不眠尺度は世界共通の不眠症判定方法であり、8つの質問に答えながら獲得した点数で睡眠の充実度を把握できます。

以下に、アテネ不眠尺度を掲載してみました。過去1ヶ月間に最低でも週3回以上経験した項目を選び、睡眠の充実度を点数化してみてください。

【質問1】寝つき(布団に入ってから眠るまでの時間)はどうか?
0点:いつも寝つきはよい
1点:いつもより少し時間がかかった
2点:いつもよりかなり時間がかかった
3点:いつもより非常に時間がかかったか、全く眠れなかった

【質問2】夜間、睡眠中に目覚めることはあるか?
0点:問題になるほどではなかった
1点:少し困ることがあった
2点:かなり困っている
3点:深刻な状態か、全く眠れなかった

【質問3】希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?
0点:そのようなことはなかった
1点:少し早かった
2点:かなり早かった
3点:非常に早かったか、全く眠れなかった

【質問4】総睡眠時間は?
0点:十分である
1点:少し足りない
2点:かなり足りない
3点:全く足りないか、全く眠れなかった

【質問5】全体的な睡眠の質は?
0点:満足している
1点:少し不満
2点:かなり不満
3点:非常に不満か、全く眠れなかった

【質問6】日中の気分は?
0点:いつも通り
1点:少しめいった
2点:かなりめいった
3点:非常にめいった

【質問7】日中の活動について(身体的及び肉体的)
0点:いつも通り
1点:少し低下
2点:かなり低下
3点:非常に低下

【質問8】日中の眠気について
0点:全くない
1点:少しある 
2点:かなりある
3点:激しい

点数別・睡眠改善アドバイス

アテネ不眠尺度で自身の睡眠充実度を点数化できたでしょうか?こちらのチェック方法は、合計得点によって以下のような結果になります。

● 3点以下の場合:睡眠に関して問題はない
● 4~5点の場合:不眠症の疑いが少しある
● 4~5点の場合:不眠症の疑いがある

4点以上だった方は、まず自分がどんなタイプの不眠症なのかを確認しておきましょう。不眠症は大きく分けて、以下4つに分けられます。

入眠障害なかなか寝付けない
中途覚醒眠りが浅いため夜中に何度も起きてしまう
早期覚醒朝早くに目覚めてしまい、その後眠れない
熟眠障害十分な時間眠っているのに充実した睡眠をとれていないと感じる

睡眠の充実度と聞くと、「とにかくたくさん眠ればいい」と考える方もいますが、これは誤りです。例えば、熟眠障害に当てはまる場合、睡眠時間をいくら確保しても根本的な解決にはつながりません。

本記事の後半でお伝えしますが、適正な睡眠時間は人によって異なるので、「絶対に8時間寝なきゃいけない!」と考えるのはNG。むしろ、睡眠時間を気にしすぎてしまうと、プレッシャーが生まれて眠れなくなることもあるので、注意しましょう。

自分がどの不眠症に当てはまるか判明したら、原因を取り除くことから始めてみてください。十分に満足な睡眠ができない場合は、以下のような原因を抱えていることが多いです。

● ストレスがある
● 嗜好品が関係している
● ライフスタイルが乱れている
● 寝室の環境が適切ではない

現在はストレス社会といわれており、人との関係や仕事での不安など、様々なシーンで精神的に負担を感じる方も少なくありません。ストレスや緊張は質の良い睡眠を損ねる恐れがあります。

嗜好品であるコーヒーや紅茶、タバコも安眠を妨げることに。コーヒーや紅茶に含まれるカフェインは覚醒作用や利尿作用があるので、安眠を妨げたり夜中にトイレへ行きたくなったりなどが発生します。タバコで摂取されるニコチンも覚醒作用があり、安眠の大敵です。

また、夜更かしや休日の昼寝など、生活のリズムが崩れると体内時計が乱れて上手く眠れなくなってしまいます。温度や湿度、騒音といった寝室の環境が適切ではない場合も、満足する眠りにつくのは難しいでしょう。

睡眠充実度チェックで4点以上だった方は、安眠を妨げる原因を取り除くことで改善できます。基本的に3点以下の方は睡眠に問題がないとされていますが、少しでも気になることがある場合は、睡眠の改善にトライしてみてください。

快適な睡眠が取れていないと引き起こす健康リスク

自分にマッチした睡眠時間を確保できず、快適に眠れていなければ、様々な健康に良くないことが起こってしまいます。

例えば、睡眠時間が不足していると以下のようなことが発生しがちです。

● 強い眠気を感じる
● 集中力や注意力が低下する
● 気分良く過ごせない
● 疲れやすくなる
● 食べ過ぎてしまう
● 血圧の高い状態が続く

通常は、睡眠時間が6時間を下回ると強い眠気を感じやすくなります。頭がボーっとすることで集中力や注意力が散漫になってしまうので、仕事や勉強へしっかり打ち込むことが難しくなるでしょう。

疲れやすさやイライラも感じるため、毎日を気分良く過ごせなくなることも。適切な睡眠時間で眠れていなければ、精神的に負担がかかってしまいますね。

また、睡眠不足は食欲を調整するホルモンに作用するからこそ、ついつい食べ過ぎてしまい、肥満につながることも考えられます。

眠れずに夜遅くまで起きていれば、体を活発モードにする「交感神経」が優位になり、血圧が高い状態が続くことも。加えて、血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の働きを弱めるため、体に悪影響が出てしまいます。

このように、睡眠不足では様々な健康に悪いことが起こりますが、実は寝すぎてしまうのも良くないことを押さえておくべきです。

適正睡眠時間以上に眠っている場合、以下のようなことが引き起こされてしまいます。

● 倦怠感を感じる
● 頭が重い
● 食欲がなくなる

休日に眠りすぎたり二度寝をしたりすると、自身の睡眠や覚醒のリズムが崩れ、体内時計が乱れてしまうのです。眠りすぎてしまう原因は、疲労が蓄積していることが多いので、普段から質の良い睡眠をとることで解消されるでしょう。

米国の調査によれば、睡眠時間は短すぎても長すぎても死亡リスクに影響することがわかっています。

睡眠中は、体を休ませるのはもちろん、筋肉や内臓の修復から細胞の再生など私たちが元気に生活するための準備期間です。現在の睡眠充実度が最適ではないと思っている方は、ぜひ次項の「適正睡眠時間」を押さえて、質の良い眠りを確保しましょう。

どのくらい眠れていたらいい?「適正睡眠時間」とは

毎日気持ちよく起きるには、自分にマッチした睡眠時間を知ることが大切です。「具体的にどれくらいの時間眠ればいいんだろう?」と悩んでしまう方は、「適正睡眠時間」を参考にしてみてください。

厚生労働省が公開している「健康づくりのための睡眠指針」によると、成人している日本人の6割は6時間以上8時間未満寝ており、これが適正睡眠時間といえます。

しかし、「毎日6~8時間の睡眠をとるのがベストなのか!」というと、これはNGです。

睡眠時間やパターンには個人差があるので、適正睡眠時間はあくまで目安であり、無理に合わせる必要はありません。一人ひとりの体質やライフスタイルによって大きく異なるため、適正睡眠時間と同じくらい眠れていなくても大丈夫です。

自分に適した睡眠時間を知るためには、「快適に睡眠を確保できているかどうか」「日中しっかり目覚めて過ごせているか」を目安にすることが重要でしょう。良い眠りができたときは、朝に目が覚めたとき「気持ちよく眠れた!」と感じることができます。

現在、平日に強い眠気を感じており、週末に長く眠ることで解消しているなら、日々の睡眠時間が足りていない証拠です。この場合は、いつもよりも早く布団に入る習慣をつけ、睡眠時間を確保する必要があるでしょう。

ただ、普段の睡眠時間よりも大幅に変えてしまうと、充実した眠りをとれないことがあります。1週間で30分程早く寝る習慣をつけて、週末に午前中から元気に活動できるレベルになることを目標にしてみてください。

充実した睡眠ができていなければ、疲労の回復を効率的にすることができず、産業事故の原因につながってしまうことも。どうしても自分にマッチした睡眠時間が確保できなかった場合は、30分以内の昼寝をすることで作業効率を改善することができます。

ちなみに、平均的な睡眠時間は以下のように年齢によっても異なるものです。

● 10代前半:8時間以上
● 25歳:約7時間
● 45歳:約6.5時間
● 65歳:約6時間

人は年齢を重ねるごとに早寝早起きの傾向が強くなり、睡眠時間も減少していきます。もし、昔の自分よりも眠る時間が変わったとしても問題ないので、安心してください。

今日からぐっすり!快適な睡眠を手に入れるための方法

「ぐっすり眠りたいのに、なかなか寝付けない」「寝た気がしなくて、長時間寝てしまう」こんな悩みを抱えている方は、ぜひ以下の方法を試して快適な睡眠をゲットしましょう。

● 生活リズムを一定にする
● 夕方以降は昼寝をしない
● 寝る前に入浴する
● 寝る前のスマホやパソコンはやめる
● 寝床で悩まない

快適な睡眠のために大切なのが、ライフスタイルを一定にして、体内時計のリズムを合わせることです。人の体には体温などの様々な生体リズムを調整する「体内時計」があり、睡眠や覚醒もこれに影響しています。

つまり、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るなどで、生活リズムを一定にすれば、体内時計によって自然と眠りにつけるようになるのです。体内時計を正確に刻むには、起床後に太陽の光を浴びたり、朝食をしっかり食べることが大切でしょう。

また、日中の眠気は30分以内の昼寝で解消するのがおすすめですが、夕方以降に横になるのは避けるべき。夕方に眠ってしまうと、寝る時間が遅くなってしまったり、睡眠の質が悪くなったりなどのデメリットがあるので注意してください。

充実した睡眠をするには、38~41℃のお湯にゆっくりつかってみましょう。寝る前に入浴をすると、心身ともにリラックスすることができるため、安眠につなげられます。

ついつい睡眠前にいじってしまうスマホやパソコンも、ぐっすり眠りたいときは控えてみましょう。スマホやパソコンから発されるブルーライトは、覚醒作用を高めて眠りを促すホルモン「メラトニン」を抑制する効果があるので要注意です。

眠りにつく1時間前から照明の暗さを少し落とすことで、メラトニンの分泌を促し、自然に眠りに入れる環境作りをしてみてください。

電気を消して横になると、ついつい「今日は〇〇すればよかったな」と悩んでしまう方もいるかもしれませんが、これは厳禁。脳を興奮させると眠れなくなってしまうので、悩みを割り切りリラックスした状態で目を閉じてみてくださいね。

まとめ

今回は、睡眠充実度のチェックリストや、すぐに始められる睡眠改善方法を紹介しました。

チェックリストで4点以上だった方は、現在の睡眠に満足していないということ。充実していない睡眠が続くと、気分良く過ごせないなどの健康面で悪影響が起こってしまいます。

睡眠を改善するには、まず充実した眠りができない原因を取り除くことが大切です。さらに、生活リズムを一定にしたり、夕方以降の昼寝を避けたりなどのポイントを押さえれば、ぐっすりと眠ることができるでしょう。

適正睡眠時間は人によって異なるので、「8時間寝ていないからだめだ!」と不安に思う必要はありません。朝に気持ちよく起きれて、日中も眠気を感じずに過ごせる睡眠時間を見つけてみましょう。

この記事の監修者

薬剤師

坂井 幸子

薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。

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