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医師・専門家監修

この記事の監修者

薬剤師 坂井 幸子

2024.03.14

中性脂肪が高いのは何が原因?数値の目安や原因・対策についても解説

中性脂肪は体を動かすエネルギー源となったり、内臓を衝撃から守ってくれるクッションになってくれたりといった役割があります。
中性脂肪が高いことで、特に自覚症状は現れません。
だからといって中性脂肪の数値が増えることをそのままにしておくのは、将来のことを考慮するとNG。
つまり、今までの食事や生活習慣は改めた方がいいものがあるということです。

健康診断や家族からの指摘などで中性脂肪が気になってきたという方は、ぜひこれをきっかけに自分の生活を振り返ってみましょう。
いつの間にか中性脂肪が高くなる食事や生活習慣を繰り返していたかも?と気づけるかもしれません。

目次

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高すぎると健康に悪影響!中性脂肪が高くなる原因とは

中性脂肪の数値が高すぎると健康に悪影響があることから、中性脂肪を下げたいと思われている方は多いと思います。そこで、中性脂肪を下げるためには、まず中性脂肪が高くなる原因の理解から始めることがおすすめです。

中性脂肪が高い場合、主な原因としては、普段の食生活や運動習慣、ストレスなどが考えられるため、生活習慣の変化によって改善できることがあります。

以下では、中性脂肪が高くなる原因について詳しく解説しますので、普段の生活のなかで中性脂肪が高くなる原因があるのかをチェックしてみてくださいね。

食生活の乱れ

食生活の乱れは、中性脂肪が高まる原因の一つとされており、とくに脂質や糖質をとりすぎると中性脂肪として蓄積されやすい点に注意しましょう。これらの栄養素は体に必要なものですが、食後に血糖値が急上昇するような糖質の多い食事は、インスリンの分泌を促し、中性脂肪の合成を増やします。

また、日本安全食料料理協会が2022年に実施した、20代〜60代を対象にした「食生活の乱れと和食」についての調査によると、「食生活が乱れている」と回答した人が全体の約4割もいたという結果が出ています。食生活の乱れは、自覚していてもなかなか改善が難しい部分ではありますが、まずは取り組めるところから挑戦してみましょう。

過剰なカロリー摂取

過剰なカロリー摂取とは、体のエネルギー消費量よりも多くのエネルギーを摂取している状態を指します。過剰なカロリーは皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されますが、蓄積量が多くなると血液中に中性脂肪が残り、その結果として検査での数値が高くなることもあります。

カロリー摂取量は年齢や性別、体格、活動量などによって異なりますが、一般的には男性で1,800〜2,200kcal、女性で1,400〜2,000kcal程度が目安とされます。カロリーの過剰摂取は、中性脂肪だけではなく、さまざまな健康リスクにつながる点でもあるので、積極的に見直すべき部分といえるでしょう。

アルコールのとりすぎ

普段からお酒を飲む方は、アルコールのとりすぎによって、中性脂肪が高くなることもあるため、日々の飲酒量をコントロールすることが大切です。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める1日あたりの純アルコールの摂取量として、男性 40g以上、女性 20g以上と示されています。
つまり、アルコール度数が5%のビール500mlに換算すると、男性であれば2本程度、女性であれば1本程度を超えると、生活習慣病のリスクを高めるといえます。

運動不足

過剰なカロリー摂取は、中性脂肪が高まる原因となることを解説しましたが、運動不足はカロリーを消費する機会を減らすため、中性脂肪を高める原因となります。また、運動不足になると、筋肉量が低下してしまい、脂肪を消費する働きが弱まってしまうことも中性脂肪の増加につながります。
ただし、意識的に運動する習慣がなくても、仕事や日常生活で活発的に身体を動かしている方は、運動の習慣がなくても十分にカロリーを消費できている可能性もあるので、日頃の買い物や出勤などでどのくらい運動しているか確認してみましょう。

ストレス

実は、飲食や運動などの生活習慣のほかに、ストレスも中性脂肪を高める原因となることがあります。ストレスが食欲や食習慣を変えることによって、中性脂肪の代謝に影響を与えるためです。

また、ストレスによって血糖値を低下させるインスリンの働きが抑制されてしまうことも、結果的に中性脂肪を高める一因となります。中性脂肪の数値の高さに悩んでいる方は、原因を把握するためにも、普段の生活でどのようなことにストレスを感じているか考えてみることをおすすめします。

健康診断結果を要チェック!健康な人の中性脂肪の値

健康診断の結果には、中性脂肪の数値が書いてありますが、一体どれくらいの数値になっていれば正常なのかがわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、正常な中性脂肪レベルについて紹介します。
正常値と比較して高すぎる・低すぎる場合の問題点についても解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

正常な中性脂肪レベル

正常な中性脂肪レベルとして、日本人間ドック学会では、中性脂肪の数値が30〜149mg/dLを基準範囲として設けられています。詳しくは以下の表のように示されています。

状態中性脂肪の数値
異常29mg/dL以下
基準範囲30~149mg/dL
要注意150~499mg/dL
異常500mg/dL以上
参照:日本人間ドック協会「検査表の見方」

上記の表を参考に、自身の健康診断の結果と照らし合わせてみて、もし中性脂肪の数値が高ければ、中性脂肪を下げるための対策をした方がよいかもしれません。中性脂肪を下げる対策に関しては、この記事の後半でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

なぜ中性脂肪が増えることは悪いこととされるのか

病院などで中性脂肪が増えないように気を付けましょうと言われるのは、生活習慣病やその他の病気のリスクが高まりやすいためです。また、中性脂肪が高い場合、食生活の乱れや過剰なカロリー摂取、アルコールのとりすぎなどの原因が考えられますが、このような生活を続けると健康リスクが高まりやすいといえるでしょう。

つまり、中性脂肪の数値は、日々の生活習慣を示すバロメーターとして見ることができ、中性脂肪が増えている場合には、生活習慣を見直すべき部分があるかもしれません。また、生活習慣以外に、病気や疾患によって中性脂肪が増えている可能性もあるため、中性脂肪の数値が高い場合にはなんらかの改善策に取り組むべきといえます。

中性脂肪が高いことによる健康へのリスク

前述のとおり、中性脂肪が高いと健康へのリスクが高まるとされており、たとえば生活習慣病は中性脂肪の増加による健康リスクの一例です。また、血管の内側に中性脂肪などが沈着して血管が狭くなったり、血栓ができて血管が詰まったりすることも考えられます。
そのほかに、中性脂肪が高いと、膵臓に負担がかかって炎症を起こしやすくなるともいわれており、中性脂肪が高いことによる健康へのリスクが大きいことがわかるでしょう。

中性脂肪は低すぎてもダメ?

中性脂肪の数値が高いとさまざまなリスクがあることを説明しましたが、実は低すぎる方も注意すべき点があります。中性脂肪には、体温を保持する働きがあるため、中性脂肪が低すぎると体温が下がりやすく、寒さや冷えを感じる原因となるでしょう。
また、中性脂肪の数値が低すぎると、エネルギーが不足してしまい、疲れやすくなったり、体力の回復が遅くなったりすることも考えられます。そのため、中性脂肪が少なすぎる方には、中性脂肪を増やすような対策が必要です。

毎日の積み重ねで数値改善!中性脂肪を下げる対策

中性脂肪を下げる対策として、生活習慣の課題を一つひとつ改善していくことが効果的ですが、対策をしてすぐに効果が表れるとは限りません。そのため、一時的な対策として取り組むのではなく、継続的に毎日積み重ねることが大切です。
また、中性脂肪の数値が高い方はもちろん、正常な値の範囲ではあるものの、以前より数値の高さが気になってきたという方にも早めの対策をおすすめします。最後に、中性脂肪を下げる対策について解説しますので、ぜひ普段の生活に取り入れてみてくださいね。

炭水化物の摂取量を見直す

炭水化物には糖質が多く含まれますが、糖質の摂取によってインスリンが分泌されると、インスリンの働きによって糖が脂肪に変換されてためこまれるため、中性脂肪が増えやすくなります。

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」によると、1日に摂取するカロリーのうち、50〜65%は炭水化物で摂取できるとよいとされています。前述のとおり、一般的なカロリーの摂取量は、男性で1,800〜2,200kcal、女性で1,400〜2,000kcal程度が目安とされているので、このカロリーの50〜65%ほどにあたる炭水化物の量が理想的です。

たとえば、1日に摂取するカロリーを1,800kcalだとすると、炭水化物から摂取するのは900〜1,170kcalが目安となります。また、炭水化物は1gにつき約4kcalのエネルギーとされているため、225〜293gが、1日あたりの炭水化物の摂取量となるでしょう。

飲酒や喫煙量をなるべく控える

日常的に飲酒や喫煙の習慣がある方は、飲酒や喫煙の量をなるべく控えるようにすることが大切です。いずれも肝臓や肺への影響が取り上げられがちですが、飲酒によるカロリーは中性脂肪となってためこまれるほか、タバコに含まれるニコチンはカテコールアミンというホルモンの分泌を活発化させ、中性脂肪の合成を促進します。
飲酒への対策としては、休肝日の設定やノンアルコール飲料への置き換え、喫煙への対策としては専門クリニックの禁煙外来や禁煙グッズなどがおすすめです。

適度な運動を習慣化する

適度な運動を習慣化して、日常の消費カロリーを増やすことも、中性脂肪を下げるための対策として効果的です。それほど負荷の高い運動でなくても構いませんので、ウォーキングや水泳、ジョギング、サイクリングなどから始めてみましょう。
なお、運動時間の目安としては1日あたり合計30分以上、毎日続けるのが望ましいです。一度に30分以上の運動をするのが難しい方は、10分ずつの運動を3回実施する方法でも大丈夫です。

ストレスはこまめに解消する

中性脂肪の数値が高い場合、ストレスが原因となっていることもあるため、日々の生活のなかでストレスをためすぎないように心がけることも重要です。ストレス発散には、ゲームや音楽などの趣味を楽しんだり、ストレッチやアロマキャンドルなどで気分転換したりするのがおすすめです。
なかなか趣味が見つからない方は、友人と会ったり、家族と談笑したりすることでもストレス発散ができるかもしれません。

まとめ

中性脂肪が高い原因としては、食生活や運動不足、ストレスなどが関係しているため、炭水化物やアルコールの摂取量、喫煙や運動などの生活習慣を意識的に変えていくことが対策となります。正常な値の目安として、中性脂肪の数値が30〜149mg/dLの範囲に収まるよう、高すぎる・低すぎる方は日々の生活を見直してみてくださいね。

この記事の監修者

薬剤師

坂井 幸子

薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。

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