この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2024.02.16
眠れないまま朝になった…どうして眠れないの?その日1日を乗り切る対処法とは
・「明日に影響するから少しでも早く寝なきゃ」と意識するほど寝つけない
・眠るためにあれこれ試していたら、いつの間にか朝になっていた
こんな経験はありませんか?
ただでさえ忙しい毎日なのに、このような日が何日も続くと肉体的にも精神的にもストレスになってしまいますよね。
「今日も眠れないまま朝になってしまった…」
そんな時でも、その日1日を乗り切るためにできる方法をご紹介しています。
また、1日頑張った体の疲れをとるために睡眠はとても大切なので、少しでも早く眠れるように後半でご紹介する生活習慣の見直しもぜひ取り入れてみてください。
今日も寝れないまま朝に…その日一日を乗り切るための対処法
眠れずに朝を迎えると、十分な休息が取れず、疲れたまま1日を過ごすことになってしまって辛いですよね。そんな日を乗り越えるために、自分の中でいくつか対処法を持っておくと安心です。
以下では、眠れずに朝になってしまった1日を乗り越えるための対策法を紹介します。
太陽の光を浴びる
太陽の光を浴びることは、眠れないまま朝を迎えた際に効果的な対策法の一つです。太陽の光は、身体の生体リズムに深く関わりがあるため、眠気を覚ます効果があります。
とくに、セロトニンという物質は、日中に太陽の光を浴びることで生成され、午後には睡眠欠かせない物質であるメラトニンに変化します。メラトニンの増加は眠気を誘い、夜の睡眠に導いてくれるのです。
さらに、太陽の光を浴びることは、体内時計をリセットする 効果もあります。体内時計は通常約25時間の周期で動いていますが、地球の1 日の周期は24時間です。そこで日光を浴びることによって、体内時計と実際の時間の間にズレが生じないように調整しています。
日光不足の場合、夜間の睡眠が浅くなり、体内時計が乱れてしまうことがあるので、起床後は部屋に朝日を取り込むようにしてみましょう。
太陽の光を浴びることで、眠さを感じにくくなり、生活習慣を整えてくれる役割もあるので、積極的に試してみてくださいね。
朝ごはんをしっかり食べる
朝ごはんは1日の活動の源になるため、欠かさないようにしましょう。しかしパンだけ・コーヒーだけなど、ただ何かしら食べればよいというわけではありません。
例えば、菓子パンなどには糖質が非常に多く含まれているため、日常的にとり続けているとと血糖値が急激に上昇し、その後急激に低下させるホルモンが分泌されるようになり、血糖値の変動が激しくなることがあります。
その結果、血糖値の急激な低下が眠気を引き起こす可能性があるので、糖質が多く含まれている食べ物にはとくに注意しましょう。
朝ごはんを食べるときは、たんぱく質や食物繊維などを含めた、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
カフェインをとる
眠気覚ましにカフェインが効果的だと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。カフェインはコーヒーや緑茶などに多く含まれており、覚醒作用がありますが、眠気覚ましのほかに集中力を高めるような働きも期待できます。
ただし、夕方以降に摂取すると、目がさえて夜に眠れなくなってしまう可能性があるので、なるべく午前中にとることがおすすめです。また、カフェインをとりすぎると、以下のような副作用が現れることもあります。
• 動悸
• 下痢
• 吐き気
• 興奮
• 不安
• イライラ
副作用の症状を避けるためにも、適切な量をとるように気を付けてみてくださいね。
昼に15~20分程度の仮眠をとる
仮眠には、家事や仕事の疲れを軽減し、集中力や注意力を回復させる効果があるため、ぜひ昼寝の時間を作ってみてください。また、昼寝をすることで夜の睡眠不足からくる疲労の蓄積を防ぎ、認知機能や学習能力の向上の役割もしてくれます。
ただし、昼寝をする際には15〜20分程度で起きられるようにアラームをセットし、なるべく午後の早い時間にとることがおすすめです。昼寝の時間が長すぎると、深い睡眠に入ってしまい、夜間の睡眠サイクルに影響を与える可能性があるため、適切にとるよう心がけましょう。
寝たいのになぜ寝れない?なかなか眠れないまま朝になってしまう原因
「早く寝たいのになかなか寝つけない」や「寝たいと思っているのに寝れない」という場合、さまざまな要因が考えられますが、ストレス、不規則な生活習慣、身体的な不調などが眠りを妨げているかもしれません。
以下では、なかなか眠れないまま朝になってしまう原因について解説しますので、自分に当てはまっている原因がないか、チェックしてみてくださいね。
ストレスや不安・緊張
眠りを妨げる要因の一つは、ストレスや不安、そして緊張です。ストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れ、脳が興奮したまま静まらず、リラックスして眠りに入ることが難しくなり、結果として睡眠の質を低下させてしまいます。
また、不安や緊張もストレスと同様に、心地よい眠りを妨げることがあります。不安感が高まると、脳はつねに警戒状態になってしまい、睡眠障害を引き起こす一因とされています。
身の回りの環境の変化
夜間の睡眠は繊細なバランスに影響を受けやすく、外部の刺激や変化が睡眠に与える影響はとても大きいです。たとえば、新しい環境や落ち着かない寝室環境、騒音などがなかなか眠れない原因となることもあります。
環境の変化による睡眠への影響を軽減するためには、寝室の環境を整えることが重要です。寝室の照明が明るすぎたり、静かでなかったりすると、自然な眠りのサイクルが乱れてしまうため、寝室はできるだけ真っ暗にして騒音をシャットアウトすることが大切です。
また、頭の形に合った枕や適切な硬さのマットレスなど、良好な寝室環境を整えることで、眠りの質を向上させられるでしょう。
アルコールやカフェインのとりすぎ
アルコールは一時的に眠気をもたらす作用がありますが、摂取後は眠りが浅くなりやすくなるほか、カフェインは中枢神経を刺激して覚醒作用をもたらします。とくに、夜にアルコールやカフェインをとると、睡眠の深さに悪影響を与えるだけでなく、尿量を増やす作用によって、夜中にトイレに行きたくなって目が覚めやすくなります。
寝る前に晩酌やティータイムを楽しんでいる方も多いかもしれませんが、睡眠の質を高めるうえでは、就寝前はできるだけアルコールやカフェインの摂取を控えることがおすすめです。
不眠が続いた時に起こる体への影響
不眠が続くと、以下のような体への影響が現れることがあります。
• 生活習慣病のリスクが高まる
• 免疫力の低下
• 集中力や意欲の低下
なかなか眠れない日が続いて睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンが減少し、食欲を増進させるホルモンが増加する傾向があり、肥満や生活習慣病のリスクが上昇します。免疫の低下や、集中力や意欲が低下が起きることもあり、心身にさまざまな影響が生じやすくなります。
自律神経のバランスを整えるうえで、睡眠はとても大切な役割を担っており、睡眠不足は眠気以外にも悪影響があるため、不眠が続いている方は速やかに改善しましょう。
寝れないまま朝になったけど仕事や学校までに時間があるときは?
寝れないまま朝になってしまっても、まだ仕事や学校までには時間があるときには、少しでも休息やリラックスができる方法を試してみましょう。たとえば深呼吸やストレッチ、ツボ押しなどは、なかなか眠れなかったときに、短い時間ですっきりリフレッシュできる方法です。
深呼吸やストレッチには、心拍数を低下させて副交感神経を優位にして、心身を休息モードにする効果があります。また、緊張をほぐすツボを押してみるのもおすすめです。手首の内側、小指からまっすぐ下におりたあたりの神門というツボや、足の内くるぶしから指3本分上あたりにある三陰交というツボは、緊張を解く効果が期待できます。
寝れない夜はコレを試して!自然と眠れるようになる方法
疲れているのになかなか眠れないと、逆に焦りが生じて、ますます眠れなくなる方も多いのではないでしょうか。寝れないときには、無理矢理眠ろうとするのではなく、眠くなるまで待つことが効果的とされていますが、実は就寝前にも対策できることはあります。
以下では、自然な方法で睡眠を促進するための効果的な手段を紹介します。
ホットドリンクで体の中から温める
自然な眠りを促進するうえで、適切な体温を保つことはとても大切です。体の中から温める方法として、ホットドリンクを飲むことがおすすめです。しかし寝る前の飲み物にはなるべくカフェインが含まれていないものを選ぶようにしましょう。具体的には、以下のようなものがあります。
• カモミールティー
• ハーブティー
• ホットミルク
• ホットココア
• 白湯
ホットドリンクは、体をリラックスさせる助けとなり、心もホッと落ち着きます。さらに、温かい飲み物をとることで体が温まり、その後体温が下がる過程で自然と眠りにつきやすくなります。
湯船にゆっくりつかってリラックスする
湯船につかると、リラックス効果で副交感神経が優位になるため、眠りに入りやすくなります。眠りにつきたい時間の1〜2時間程度前に、あまり熱さを感じない40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。
人の体は体内の温度が下がると眠気が起こりやすい仕組みになっているため、湯船につかって体温が一時的に上がったところから、自然に眠気を誘発させることが可能です。
好きなアロマの香りで気持ちを和らげる
アロマにはリラックス効果や安心感、睡眠スイッチの促進作用があるといわれているため、就寝前に好みの香りを使用してリラックスすることもおすすめです。
たとえば、ラベンダーやローズゼラニウム、ベルガモットなどのアロマは安眠やストレス軽減に効果的とされていて、ヒノキやスギの香りはまるで森林浴をしているかのようなリラックス効果が得られます。ディフューザーで香らせたり、枕元に少量垂らしたりして、就寝前や寝る直前に香りを楽しむ習慣を取り入れることで、入眠準備を整えることができるでしょう。
寝室を適切な湿度・温度に設定する
一般的に、寝るときの快適な室温は約13〜29℃程度とされていて、寝具の中は33℃前後が適温といわれています。寒すぎず、暑すぎない状態が、深い眠りを促進するのに適しているので、エアコンやヒーターを利用して室温を調整し、快適な寝床を確保することが大切です。
また、湿度が低すぎると喉が渇きやすくなり、寝つきが悪くなることがあるので、乾燥が気になる季節や低湿度の場所では、加湿器を使って湿度を調整するとよいでしょう。
要注意!かえって寝つけなくなってしまうNG行動
良質な睡眠を促進するためには、以下のNG行動を避けるようにしましょう。
• ブルーライトの刺激を受ける
• カフェインやアルコールの摂取
• 寝る直前に食事をする
• 体を温める
就寝前のスマートフォンやデバイスの使用は、ブルーライトの影響でメラトニンの分泌を妨げ、寝つきを悪くする可能性があります。そのほかに、カフェインやアルコールの摂取も寝つきを悪化させる要因であるため、寝る数時間前には摂取を控えましょう。
また、寝る直前の食事は血糖値を上昇させ、脳を活発にしてしまうので、お腹が空いてしまい、なにか食べないと眠れそうにない場合は、糖質が控えめな食事を選びましょう。糖質を控えると、血糖値の急激な変動が避けられ、脳の覚醒レベルの上昇を和らげることができます。
さらに、寝る際に体を温めると、体温が下がりにくくなり、良質な睡眠を妨げる可能性があります。冷え対策として靴下を履く方もいるかと思いますが、足の指が自由に動かせなくなると、毛細血管が締め付けられ、血流が滞って冷えの原因となることがある点には注意すべきです。
そのため、冷え対策に靴下を履く方は、できるだけ大きめのサイズを選んだり、睡眠時は脱いだりするようにしましょう。
毎晩少しずつ眠れるようにするために!普段から意識したい生活習慣
毎晩少しずつ眠れるようにするためには、普段からの健康的な生活習慣が欠かせません。ここでは、睡眠のためにぜひ取り入れていただきたい生活習慣についてご紹介していきます。質の高い睡眠を手に入れるための第一歩となるヒントが見つかるはずです。
睡眠の質を高める食材を取り入れる
睡眠の質を高める食べ物として、グリシン、GABA、トリプトファンなどがあげられます。これらの食材は、睡眠に関わる神経伝達物質の合成や働きに影響を与え、リラックス効果をもたらすことが知られています。
- グリシン
グリシンはアミノ酸の一種で、中枢神経系の抑制神経伝達物質であるグリシンの受容体に作用します。神経の興奮を鎮めることによってリラックス効果が生じ、入眠を促進してくれます。グリシンが含まれる食材には、鶏肉、カニ、エビなどがあります。 - GABA
GABAは、抑制性の神経伝達物質で、脳内の興奮を抑えてリラックスや安眠を促進します。GABAが豊富に含まれる食材には、穀物やキムチなどがあります。 - トリプトファン
トリプトファンは、体内でセロトニンに変化し、夜になると睡眠を促すホルモンであるメラトニンに変わります。トリプトファンが豊富に含まれている食品には、鶏肉、バナナ、ナッツ類、たまごなどがあります。
これらの食材をバランスよく摂取することで、神経伝達物質の働きをサポートし、睡眠の質を高める効果が期待できます。
簡単な運動で日中の活動量を増やす
簡単な運動を取り入れることで、 体温調整・ストレス軽減・睡眠のサイクル調整のほか、リラックス効果のあるエンドルフィンやセロトニンの分泌を促進し 、質の高い睡眠をサポートしてくれます。
軽い運動によって体温が上昇すると、運動後に徐々に体温が下がる過程でリラックス状態に入り、体温の自然な下降は入眠のシグナルとして機能します。さらに、エンドルフィンやセロトニンの効果によって、ストレスの軽減につながるだけでなく、適度な疲労感によって深い睡眠に入りやすくなるでしょう。
たとえばストレッチやジョギング、水泳、ヨガなど、30分〜1時間を目安に挑戦してみることをおすすめします。ただし、運動のタイミングにも注意が必要で、激しい運動は目がさえてしまうため、寝る直前は避けることがポイントです。
まとめ
眠れない日々が続いて辛い方は、日々の生活のなかで眠れない原因を作ってしまっていないか、改めて見直してみましょう。毎晩眠れるようにするには、生活習慣を見直してストレスをなくし、アルコールやカフェインの摂取量に気をつけることが大切です。
具体的には、湯船にゆっくり浸かる、寝室を快適な温度と湿度に設定するほか、アロマの香りで眠れる環境作りを整えるなどの対策法があります。それでも眠れずに朝を迎えてしまった場合は、1日を乗り越えるためにも、太陽を浴びて体を目覚めさせたり、朝食をしっかり摂り、昼に仮眠をとったりしてみましょう。
今回紹介した対策法を参考に、少しずつ眠れるように改善に取り組んでみてくださいね。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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