この記事の監修者
薬剤師 坂井 幸子
2023.08.29
【高血圧の方必見】血圧を下げる効果的な運動やポイントをご紹介
年々気になる血圧。自覚症状はほとんどないため、健康診断などで指摘された時に「何かしら対策をしなきゃ…」と思う方が多いかもしれません。
高血圧対策として、真っ先に思い浮かぶのは食事での塩分摂取量を減らすことでしょうか。
たしかに日本人は、世界的に見ても食塩の摂取量が多く、現在のところ4,000万人以上が高血圧といわれているので 日々の食事から塩分量を意識することはとても大切です。
しかし、高血圧の原因は塩分のとりすぎだけではありません。他にも運動不足・ストレス・過労など食生活以外にもあるのです。
塩分摂取量を減らすことと合わせて、改善策の一つとして定期的な運動を取り入れていくのもおすすめ。
この記事では、運動初心者の方や普段あまり運動が出来ていない方でも簡単に始められる内容をご紹介しています。
運動を行う上での注意点などもまとめているので、体の調子と相談しながら無理なく取り組んでみましょう。
なぜ高血圧対策に運動が良いのか
高血圧対策として運動がおすすめなのは、血管内皮機能を改善し、降圧効果が得られるといわれているから。
さらに、脂質や糖の代謝やインスリン感受性の改善も期待できるため、血圧が気になっている方は運動を取り入れるのが良いといわれているのです。
「運動をすると心拍数が上がるし、かえって血圧も上昇するのでは?」と考えている方もいるかもしれません。確かに、運動中は心拍出量の増加から血圧が増加しますが、交感神経活動が刺激されるため、運動後はしばらく血圧の低い状態が続きます。
では、運動と高血圧の関係性について、さらに詳しくお話していきましょう。
運動により血圧が下がる仕組み
運動によって血圧が下がるのは、発汗や交感神経活動などが関わっているといわれています。
運動直後は心拍数がバクバクと速く、血圧の高い状態ですが、発汗によって心拍出量が低下する影響で徐々に低下していくもの。加えて、運動によって交感神経活動が刺激されることで、副交感神経の働きが優位となり、しばらくの間血圧を下げられるのです。
日本高血圧学会によると、運動をすることで収縮期血圧は2~5mmHg、拡張期血圧は1~4mmHgの低下が期待されるとされています。
出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
高血圧対策に運動が適している人とは
高血圧対策に運動が適している人をお話する前に、まずは血圧の分類についてチェックしてみてください。
診断室血圧 (収縮期血圧・拡張期血圧) | 家庭血圧 (収縮期血圧・拡張期血圧) | |
正常血圧 | <120かつ<80 | <115かつ<75 |
正常高値血圧 | 120-129かつ<80 | 115-124かつ<75 |
高値血圧 | 130-139かつ/または80-89 | 125-134かつ/または75-84 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159かつ/または90-99 | 135-144かつ/または85-89 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179かつ/または100-109 | 145-159かつ/または90-99 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180かつ/または≧110 | ≧160かつ/または≧100 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140かつ<90 | ≧135かつ<85 |
日本高血圧学会では、運動療法の対象者は2度高血圧以下の血圧値で、脳心血管病のない高血圧患者としています。
出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
高血圧の方が運動する場合の注意点
高血圧の方が運動をする場合、まずはメディカルチェックを行なって、疾患の有無や運動療法を行うべきかを診断してもらうのがおすすめ。
年齢や基礎体力、健康状態や体重などから適切な運動の方法を教えてもらえば、効果的に血圧を下げることができます。特に高齢だからといって運動を制限する必要はありませんが、事前に病院に相談しておくと安心です。
血圧をしっかりと下げたい方は、運動だけではなく塩分制限といった生活習慣の改善にも取り組んでみてください。
高血圧対策におすすめの運動
「高血圧対策に運動をした方がいいのはわかったけど、具体的にどんなことをするべき?」と悩む方にために、こちらではおすすめの運動をご紹介します。
さらに、運動量や強度、頻度や時間についてもご紹介するので、実際に行ううえで参考にしてみてください。
有酸素運動
高血圧を対策したい方に一押しなのが、有酸素運動です。ウォーキングやステップ運動、スロージョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、高血圧が改善されるといわれています。
ただ、普段運動をする習慣がない方は、なかなか手が付けづらいものですよね。そんな方は、普段の生活の中で身体活動量を増やすことから始めてみましょう。
掃除や洗車、自転車で買い物に行くなど、身体を動かすことを意識しながら毎日に運動を取り入れてみてくださいね。
筋力トレーニング
有酸素運動とあわせて、筋力トレーニングも行うと高血圧対策として効果的といわれています。筋力トレーニングは、ついつい息を止めてしまいがちですが、吸って吐いてをしながらトライしましょう。
行う筋力トレーニングは、スクワットなど下半身の筋肉を鍛えるのが一押し。下半身の筋肉は全体の70%を占めており、ここの筋肉が少なくなると血圧が高くなるとされています。
反動をつけたり重すぎるのを持ったりするのは、血圧に良くないので、避けるようにしてくださいね。
やり過ぎは禁物!運動量や強度・頻度・時間の目安
有酸素運動は、できれば毎日30分以上でややきついレベルのものを行うのがおすすめ。1回につき少なくとも10分以上持続した方が良いとされています。
血圧を下げたいからと頑張って強すぎる強度で運動をすると、無酸素運動になってしまうので注意しましょう。
筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせたときは、毎日40分以上運動することが効果的です。
運動とあわせて見直したい生活習慣
高血圧対策をしっかりと行いたい方は、運動とあわせて生活習慣を見直してみましょう。
減塩に加えて十分な睡眠や休養、適量なお酒など、血圧を上げてしまう習慣を改善することで、よりスムーズに高血圧対策を進めることができます。
また、喫煙も血圧を上げたり血液の流れを悪くしたりなど身体に悪影響があるので、できるだけ禁煙を行うことがベストです。
まとめ
今回は、高血圧対策として、運動初心者の方や普段あまり運動が出来ていない方でも簡単に始められる内容をご紹介しました。
毎日の運動は、血管内皮機能を改善するうえ降圧効果が期待できるため、血圧に悩んでいる方は試してみるのがおすすめ。この記事でご紹介した方法を試しながら、高血圧対策を始めてみてください。
この記事の監修者
薬剤師
坂井 幸子
薬剤師。病気の「治療」と「予防」両方大切だと考え、健康と食物の関係を日々研究。
生活の中で体に必要な栄養を補い、正しいコンディションで過ごせるように栄養学の観点から健康と美容をサポートすることを得意としている。
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